「ウチでは特に変わった事はしてないですよ」飄々と話すのはBeach Hairオーナーの猿渡氏。美容院に対するお客様の印象を変えたい。インタビュー中に何度も出てきたフレーズだ。「楽しい時間、色々な情報の交換、癒しの空間の提供をして、ついでに髪の毛を綺麗・清潔・お洒落にする場所ですね。そういう心構えでお客様をお迎えしています。決して特別な施術はしていないと語るが、施術自体に「退屈さ」を感じさせぬよう、ヘッドスパ等の人気メニューは楽しみにされるお客様の期待に応えるべく、いつも違う施術をうけているような印象を感じてもらえるようにアクセントを付ける工夫をしているという。
家族のため、生活の為にって事は勿論ですが、語弊があるかもしれないけど、僕自身が人生を笑顔で楽しく送りたいんで自分の為にやってます。お客様・スタッフの笑顔が自分の笑顔を創ると言えば、その為ですし、人が笑って時間を過ごしながら、髪の毛も綺麗になる。その結果、笑顔になってもらえて報酬を戴くって幸せな仕事ですよ。僕は美容師っていう職業は本当に最高の仕事だって思ってずっと働いてます。
アクセスの良い場所に位置するBeach Hair。猿渡氏のこだわりでオープン前から岐南町に作ると強く決意して出店。店内は名の通り、Beachをイメージさせる写真やBGMによってリラックスできる雰囲気となっている。清潔な状態をキープする事を施術のコンセプトとしており、使用するシャンプーをはじめとする、あらゆる用品にはこだわりが詰まっている。本来は定休日があるものの、要望が多く、ほとんど休みを取る事もできない程、支持されており、顧客を想うキモチが通じるからこそ、大切にされる美容院として多くの方に愛されているのだ。
お客様には、来る事を楽しみに。来て良かったなって感じていただきたいし、働くメンバーには美容師として誇りを持てメンバーを増やしたいです。筆者も猿渡氏に何度か施術してもらった事があるが、こだわりや手抜きが一切ない事はよく分かる。ヘッドスパでは、通り一遍の決まりきった施術はしない。「飽き」や「マンネリ」を嫌う猿渡氏は常にお客様に新鮮さを感じてもらえる様に工夫している。
仕事に関しては、常に楽しんでますね。
メンバーの子には、仕事だけじゃなくって、プライベートとのバランスを大事にするように伝えています。バランスを取りながら、楽しんでもらいたい。僕自身は、お客様と会話するのが楽しいんで、本当は定休日ってあるんですが、せっかくお越し頂けるんで!って事で最近はほとんど休みなくやらせてもらってます。有り難いです。本当に。でもたまに家族で沖縄行きたくなります(笑)。
本音を言うと、業界に対しての違和感があるんです。まだまだ美容室を退屈・窮屈・疲れる場所と認識される方が多いと感じるし、髪の毛を綺麗にする為には、致し方ないと思っている方もいます。ちょっと淋しいですよね。そこを何とか変えていきたい。当店にお越し頂いて楽しんでいただいてる方もいますが、もっとたくさんの方がそう感じてもくれると嬉しいですね。もっと言うと、働くスタッフにも言えます。美容師と言う職種の素晴らしさを実感している人が少ないと思うんですよ。美容師という仕事は転職率が極端に低いんです。他のお店に移るという事ではなくて、お店を辞める時には美容師という職業を辞めるケースがほとんどなんです。以前、自分が店長を務めていたお店でもそういうスタッフを沢山見てきました。夢を持って専門学校に通って、本当は楽しい仕事であるはずが、押し売りの勉強・強要、無意味な練習時間が、本来味わうべき楽しさからかけ離れちゃってる。もちろんツラい事や嫌な事もいっぱいあります。ただね、そればかりじゃなくって、もっと楽しさも教えてあげたいです。そういった考え方の大人が、少ない事も影響してるかもしれませんがね。僕は変えたいですね。その為にもまずは美容師の素晴らしさを体現したいと思ってます。突拍子もない事を言うと、砂浜というかね、楽園みたいなところを岐阜に創りたいんです。岐阜って海が無いじゃないですか。将来は事業を大きくして、今は壮大な夢かもしれないけど、実現してみたいです。地元や近隣の地域の方が遊びに行きたいと思える場所を創りたい。
まだまだこれから!と思ってますが、やっぱり質には拘りがありますね。技術的に、特に変わった事はしてませんし、これからも変わらないと思います。実際にはすべての道具・順序・技術に対して自分なりの拘りはありますが、ウチはココは違うんだぞ!って言うんじゃなくていらしたお客様に感じて欲しいです。お化粧するんじゃなくてね、「清潔な状態を保つ」って一言に集約されるんですが、施術させて頂くお客様には実感してもらって喜んでくれたら、僕自身嬉しいですよ。おかげ様で開店して2年。定休日もままならない程、忙しく働けています。やっぱり選んでいただける事は嬉しいですし、僕自身まだまだ経営に専念すること無く、現場で1人ひとりのお客様と携わっていきたいですね。結局、僕自身が「美容師」という職業をスゴく楽しんでるんだと思いますよ(笑)。
「可愛らしい方。愛嬌という言葉の意味を理解している方がいいですね。
自分という人間を理解し、向上心があって何でも楽しめる方は向いてます。」猿渡氏自身、市内の某店舗で店長を務めた事があり、数多くの美容師の卵に逢ってきたが、夢半ばで辞めてく子を見てきて、美容師の本当の素晴らしさを知って欲しいと切に願っているのだという。
もっともっと 人生を楽しめ!
嫌な事や辛い事なんかはいっぱいある。でも、実際それはそんな大したことじゃない。傷ついて、失敗して、大きくなって欲しいし傷つく事や失敗を恐れてほしくないです。あとは岐阜を街を愛して欲しいですね。